借地権の難しさを知る。
現在、私の親は土地が借地権の戸建てに住んでいます。
私がまだ学生時代に父が病気で亡くなったのですが、当時の実家は賃貸戸建て。
父の諸々が落ち着き、母の気持ちも落ち着いた頃、私は独立、母は今後の人生も考えて家を買いたい、と言い出したのがその借地権付き物件との始まりでした。
不動産に関する知識のなさが招いた結末
当時私には不動産の知識は全くなく、物件を購入するためには何に気を付ければいいのか、何が必要なのか、全くの無知でした。
それは母も然り。
そして今のように『ぐぐる』なんて言葉もない、スマートフォンもない、PCを持っている家庭もなかなかない時代でした。
ど素人が物件情報から理解できることなんて住所と間取りと敷地面積くらいで、専門家の友人知人もおらず、図書館に行って専門書を調べればいいなんて考えもせず。
既に家を出ていた私は母の物件購入にあたって
『おかーさんが住みやすかったらいいんじゃない?』
くらいにしか思ってませんでした。
当時の母にとっては、残ったわずかな所持金を全てはたいてやっと購入できる物件でした。
(今思えば借地権物件だから安かったんですが、お手頃物件が並ぶエリアだったのと上物が古かったのでそういうものだと思ってしまっていました)
借地権とは土地を返さなければならない、とはざっくりは理解していたものの、母は期間満了頃には山奥で田舎暮らしをしたいから借地権でも問題ない、ということで、あまり深く考えずに決めてしまったのです。
とは言えそれは田舎暮らしのプランもベースになるものも何もない、とてもざっくりした将来設計のもとでのことでした。
そして期間満了の日がやってくる
そして時が過ぎ。
先日、借地権の期間満了の知らせが母のもとに。
近隣に駅も商店街も病院もある住みやすい場所、友人とも交流が多い高齢の母、もちろん当時思い描いていた田舎暮らしの『い』の字も今は考えていません。
借地権には旧借地法(旧法)と新借地借家法(新法)があり、母は旧法で契約していました。
幸い(?)更新は可能でしたが、提示された更新料がかなりの額。
じゃあどうにか引っ越し…となっても、上物は既にほぼ値が付かないほど古く、契約終了したとしても母には1円も入らないどころか更地にするためのお金が発生するだけです。
たまたま同じ時期に役所で住まいの無料相談が開催されていたので聞いてみましたが、借地権の更新料について法律上規定はなく、もめても地主との折り合いがつかなくなるだけ、住みたいなら揉めない方がいいとの話。
揉めても住むのは母なのでこちらから強く出ることもできず、ほぼ言われるがままにするしかなく。
更新料の支払い目途は立ったものの、この更新の一件には地主さんとのやり取りも含めて母にはかなりの精神的ダメージがあったようでした。
借地権について改めて思ったこと
現在、我が家は自分(と家族)の住まい探しの真っ最中です。
色々情報を集めますが、やっぱり借地権付きの物件は安い。
当たり前ですね、上物代だけで土地は返さなきゃならないわけですから。
価格的に手は出しやすいですが、目の前で起きたことを考えるとリスクも大きく、上級者向き物件だと思わざるを得ません。
たとえば何年後かに確実に引っ越す予定があるとか、
いずれは実家に帰るとか、
何か将来の予定が『明確に』あってならば借地権でも問題ないと思います。
けれど選択する場合はローン返済以上に、期間満了や更新のことまできちんとライフプランに組み込む必要があります。
後悔しても始まりませんが、母が家を買うと言った時に、もう少し踏み込んで色々調べてあげていたら、と考えてしまいます。
そして我が家の家探しは頓挫中…。
やっぱり学区内もしくは学区外でも登校可能な範囲で、となるとだいぶ厳しめです。
今はそういう時期、と思って、できる範囲で情報を仕入れながら夢をあきらめずに探したいと思います!